指輪
「冗談やめてよ。心臓に悪い」
「ごめんごめん」
よく覚えてる。この、ひとを食ったような語り口。
わたしが怒ると、いつもそうやっていたずらっぽく笑ってごまかした、
ずるいやつ。
ひとの気持ちを知りながら。
「今、何してるの?」
「きみと会ってる」
「そう言う意味じゃないよ。仕事は?」
「知りたい?」
あぁ、またこいつのペース。
気がつくじゃない。あんまり知りたくないって。
(思い出を美化したいから)
「きみは?」
「知りたい?」
「当ててみせるよ。
相変わらず、なんにも言えないんでしょ?」
「!!」
どこまでも澄んだ目が、わたしを見ている。
責めるでもなく、あざけるわけでもなく、ただ、事実を言っただけ。
そう言うのがいちばん傷つくの、わかっててやっている、
ずるいやつ。
「察して」なんて夢物語だよ。
でも、まだ、わたしは、夢を見たいみたい。
あなたのそばで見ていた夢を。
(そばにいたい)
「ごめんごめん」
よく覚えてる。この、ひとを食ったような語り口。
わたしが怒ると、いつもそうやっていたずらっぽく笑ってごまかした、
ずるいやつ。
ひとの気持ちを知りながら。
「今、何してるの?」
「きみと会ってる」
「そう言う意味じゃないよ。仕事は?」
「知りたい?」
あぁ、またこいつのペース。
気がつくじゃない。あんまり知りたくないって。
(思い出を美化したいから)
「きみは?」
「知りたい?」
「当ててみせるよ。
相変わらず、なんにも言えないんでしょ?」
「!!」
どこまでも澄んだ目が、わたしを見ている。
責めるでもなく、あざけるわけでもなく、ただ、事実を言っただけ。
そう言うのがいちばん傷つくの、わかっててやっている、
ずるいやつ。
「察して」なんて夢物語だよ。
でも、まだ、わたしは、夢を見たいみたい。
あなたのそばで見ていた夢を。
(そばにいたい)