妃候補なんて興味ありません!
切れ切れに言うシーラにようやくコルセットを閉めすぎたと感づいたリュナが慌ててリボンを緩める。

どうにか呼吸ができるまでになって大きく空気を吸い込んだ。
「もう少しお痩せにならないと、ドレスが様になりませんよ」

ドレス姿のシーラを見てリュナは辛辣な言葉を投げかける。
「いいのよこれくらいで。健康的でしょう?」

鏡にうつる自分の姿を見てシーラはほっと一息ついた。
まだパーティーが始まる前なのに、どっと疲れてしまった。

そしてふと首元を彩るサファイヤのネックレスへ視線を落とす。

純金のチェーンの中揺れる真っ赤なサファイヤはもちろん自国最上級のもので、代々王宮に受け継がれている品だ。

シーラもこれを美しいと感じるし、自分でつけられることが誇らしくもある。
だけど、脳裏にチラつくのはあの真珠だった。

真珠はもちろん美しかったし、高価なものなのだとひと目でわかった。

だけど問題なのは誰が選んでくれたものか、というところだった。
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