妃候補なんて興味ありません!
もしフィリップ王子だったら……なんてことを考えて慌てて左右に首を振って自分の妄想をかき消す。

王子が直々にお礼の品を選ぶのは考えにくい。
ああいう形式ばったものは、すべて決められているものであるはずだ。

そう思うと冷静になるが、なんだか寂しい気分にもなった。
「なにをぼーっとしてるんですか? そろそろ出ますよ?」

リュナに声をかけられたシーラはようやく我に返り、重たいドレスを引きずるようにして部屋の外へと出たのだった。
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