妃候補なんて興味ありません!
☆☆☆

そんなふたりもフィリップ王子が現れたときにはさすがに静かになっていた。
これから本格的にパーティーが始まる。
胸のトキメキとほんの少しの不安がシーラを埋め尽くしていく。

妃候補たちは今日こそ自分を最大限にアピールできる機会だと考えているようで、フィリップが入ってきた瞬間から、会場内の雰囲気がガラリと変わっていた。

「今回はとんでもないことに巻き込んでしまって、本当に申し訳なかった」
フィリップが深く頭を下げると、姫君たちは黙り込んだ。

敵軍が城まで攻め込んでくるのはフィリップ王子としても予想がいだったろうが、姫君たちを不安に感じさせたことは間違いない。

「謝罪を示したものを各国に送ることにした。どうか受け取ってほしい」
「まぁ、そんなもの必要ありませんのに」

扇子で口元を覆いながら言ったのは1番姫だった。
凛とした佇まいで、聡明さを感じさせる美女だ。

スタイルも抜群で胸元からは谷間が覗いている。
「いや、これくらいのことはしないと、国としての信頼を失う」
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