妃候補なんて興味ありません!
「でもフィリップ様は私達の中から誰かを妃にしてくださるのでしょう? 一緒にいることになれば、謝罪など必要ないかと」

その言葉は単純に自分が妃としてふさわしいと言っているようなものだった。

シーラはその自身に呆れかけたけれど、たしかにこの中では1番妃がフィリップ王子に一番ふさわしいように見える。

妃としての教養もあり、そのために育てられてきた人のようだ。
「非の打ち所がないっていうのは、ああいう人のことを言うのね」

隣に立っていたリディアはこそっと耳打ちしてくる。
シーラは軽く肩をすくめて微笑んで見せた。

自分は妃になれるわけがない。
こうして妃候補としてここにいるだけでも奇跡に近いことだ。

そうわかっていたはずなのに、なぜかシーラの胸の奥はざわつくのだった。
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