妃候補なんて興味ありません!
☆☆☆

「シーラ様ったら、また料理? 食べ物はこんなに沢山あるというのに」
シーラが腕をふるって作ったのはあのトマトスープだった。

中には豆もふんだんに入っている。
「もしかしてここの料理が口に会わないから、自分で作っているのかしら?」

姫君たちの言葉がチクチクと攻撃してくる中、シーラはスープをフィリップ王子の元へと運んだ。

「これはもしや地下室で振る舞ったというスープかい?」
「はい。地下室は少し肌寒くて長時間いると体が冷えてしまうと考えました」

「なるほど。君は気配りもできるんだね」
フィリップ王子がそう言ってスープ皿を受け取り、スプーンで一口すくって食べた。

「うん。うまいじゃないか!」
「ありがとうございます」

フィリップ王子はあっという間にトマトスープを平らげてしまい、それを見たシーラはホッと胸をなでおろした。

自分の趣味はこれくらいしかない。
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