火の中の救世主

6.再び火事現場へ

その日、美咲は大学の講義を終えた後、久しぶりに美桜とカフェでお茶をしていた。
二人は最近の出来事や将来の話題で盛り上がり、美咲も少しずつ心が軽くなるのを感じていた。

「美咲ちゃん、最近少し元気になったよね。なんだか表情が柔らかくなった気がする」

美桜が笑顔でそう言うと、美咲も微笑みながら頷いた。

「そうかな？でも、美桜ちゃんのおかげだよ」

その時、美咲のスマホが振動した。
画面には「悠真」の名前が表示されている。

「ちょっとごめんね」と言って電話に出ると、悠真の焦った声が耳に飛び込んできた。

「美咲！お前今どこにいる？」

「え？カフェだけど……どうしたの？」

「○○町で大規模な火災が発生してる。お前、その辺りには近づくなよ！」

その言葉に、美咲は一瞬息を呑んだ。○○町――それは彼女がアルバイト先から帰宅する際によく通るエリアだった。

「分かった。でも……大丈夫なの？」

「俺たちが対応するから心配するな。ただ、絶対に安全な場所にいてくれ」

悠真はそう言い残して電話を切った。

悠真は消防車に乗り込みながら、無線で現場状況を確認していた。
木造住宅街で発生した火災はすでに複数棟に延焼しており、逃げ遅れた住民がいるとの情報が入っている。

「現場到着まであと3分！」

運転席から声が飛ぶ中、悠真は心の中で祈るように呟いた。

「どうか美咲じゃありませんように……」

現場に到着すると、そこには黒煙と炎が立ち上り、人々の叫び声が響いていた。
悠真はすぐさま隊員たちと共に防火衣を整え、指揮官から指示を受ける。

「2階部分から逃げ遅れた住民あり！突入班は準備しろ！」

悠真は頷き、防護マスクを装着するとホースを持って建物内へと突入した。
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