火の中の救世主
一方、美咲は2階部分で意識を失いかけていた女性住民を助け出そうとしていた。
なんとか肩を貸して階段まで辿り着いたものの、

その時――



「ドン!」

爆発音と共に大きな棚が倒れてきて、階段への道を塞いでしまった。
炎と煙が迫る中、美咲は状況を把握しながら冷静に考えた。

「……このままじゃ二人とも助からない」

美咲は苦しそうな顔をする女性住民に向かって小さく微笑むと、こう言った。

「先に行ってください。私は後から行きますから」

女性は不安そうな顔で美咲を見る。
しかし、美咲は毅然とした表情で頷いた。

「大丈夫です。必ず脱出します」

美咲は女性を棚の隙間から押し出し、
「出口まで走って!」と叫んだ。

そして、自分はその場に残り、瓦礫をどかして道を作ろうと試みた。


建物内で捜索を続ける悠真は、その途中、先ほど救助された女性住民と遭遇する。

「あなた……消防士さんですか?私を助けてくれた子がまだ中にいるんです!」

その言葉に悠真は息を呑む。

「その子って……どんな子ですか?」

「若い女の子です!私をここまで連れてきてくれたんですけど、途中で瓦礫に道を塞がれて……」

女性の説明を聞いた瞬間、悠真は確信した。

「美咲だ!」

無線越しに隊員へ状況を報告すると同時に、悠真はさらに奥へ進む決意を固めた。

「絶対見つける……待ってろ、美咲!」
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