火の中の救世主
藤堂悠真――幼馴染であり、高校時代まで一緒に過ごした大切な存在だった。




しかし、美咲が両親を亡くした後、彼とは疎遠になっていた。

「久しぶりだな。元気そうだな」

悠真はカウンター越しに微笑む。その笑顔は昔と変わらず優しかった。

「久しぶり……ほんと、何年ぶりだろうね」

美咲もぎこちなく微笑み返す。
しかし、その胸の奥では懐かしさと少しの戸惑いが入り混じっていた。


「ここで働いてるんだな。……一人暮らし、大変じゃないか?」

悠真の問いかけに、美咲は一瞬言葉を詰まらせた。
しかし、すぐにいつものように笑顔を作り、

「ううん、大丈夫だよ」と答えた。


悠真はその言葉に納得したような、しかしどこか引っかかるような表情を浮かべた。 

「そっか。でも、無理するなよ」

その一言が胸に響いた。
それでも美咲は、「ありがとう」とだけ返した。


数日後、美咲は大学近くでまた別の懐かしい人物と再会することになる。
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