火の中の救世主
ある日、美咲は意を決して悠真に相談することにした。

再会してからというもの、悠真は何かと気にかけてくれており、彼なら頼れると思えたからだ。

「悠真……少し話せる？」

美咲はカフェで働き終えた後、待ち合わせ場所にやってきた悠真にそう切り出した。


「どうした？何かあったのか？」

悠真は心配そうな顔で彼女を見る。
その表情に、美咲は少しだけ安心した。

「最近……なんだかつけられている気がするんだよね」

美咲はこれまで感じていた不安や出来事をすべて話した。
悠真は黙って聞いていたが、その瞳には怒りと心配が混じっていた。

「それ、本当に危ないぞ。警察に相談した方がいいんじゃないか？」

「でも……まだ確証もないし、大げさかなって思って……」

美咲は俯きながらそう答えた。
それでも悠真は首を振る。

「大げさなんかじゃない。俺の友達に警察官がいるから、一度話してみようか」






悠真から連絡を受けた警察官の渡辺涼太はすぐに対応してくれた。

彼は悠真の親友で美咲のことを昔から知っている存在だった。

涼太は冷静な口調で言った。

「最近、この辺りで女性へのつきまとい被害が増えているんだ。美咲ちゃんもその可能性が高い。ただ、現行犯じゃないと逮捕するのは難しいから、まずはこちらでパトロールを強化するよ」

「ありがとう、涼太さん……」

美咲は申し訳なさそうに頭を下げた。
しかし涼太は微笑み、「気にするな」と言った。


その日から、美咲の帰宅ルートには涼太や警察官による見回りが増えた。

それでも、不安感は完全には消えなかった。
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