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第２話（堀田千穂の物語）

第２話（堀田千穂の物語）

学校の図書室も好きだけれど、堀田千穂は市立図書館の雰囲気が好きだった。

大理石でできた豪華な階段を上がっていくと扉のついていない部屋がいくつか連なっていて、各部屋に専門的な分野の本が並んでいる。

階段から一番近い部屋は草花の本。
その奥は経済書。
更に奥に行くと医学書コーナーや薬剤関係の本が並んでいる。

千穂の好きな大衆小説の類はすべて一階に集約されていたけれど、２階の静かな雰囲気が一番のお気に入りだ。

草花のコーナーには主婦や若い女性の姿が多いけれど、医学書コーナーともなると人の姿はほとんど見られなくなる。

誰もいない空間だけれど毎日窓を開けて空気の入れ替えがされているようで、澄んでいてキレイだった。