この小説の続きを探しています。
思わず私から声かけちゃった。
それくらい、慶太の顔色は悪かった。

家が近所で小学生の頃から一緒にいるけれど、慶太がこんな暗い顔を見せるのは初めてかもしれない。

飼い犬のペスが死んだときだって、涙をグッと我慢して強がっていたのに。
「これ、読んでみてほしいんだ」

唐突に手渡されたのは一冊の本だった。
300パージくらいの厚さの文庫本。
表紙には【永遠の本】というタイトルが書かれているけれど、聞いたことはない。

裏返して確認してみても、ここ。后丘高校の図書室スタンプは押されていなかった。

図書室に置かれている本にはすべて同じスタンプが押されるようになっているので、慶太が自分で持ってきた本みたいだ。

「なにこのマーク」

スタンプがない代わりに、裏表紙には手紙に封をするときにつかうシーリングスタンプのようなものが押された。

ワックスを溶かしてスタンプしたい場所に垂らし、その上から押し型を押し付けて封を止める。

< 2 / 133 >

この作品をシェア

pagetop