この小説の続きを探しています。
自分と同年代の、自分と同じような趣味を持つ女の子が突如消えてしまった。
そして今もまだ行方不明という事実が現実味を帯びて見えた。

「ありがとうございます。これ、貸していただいていいですか?」
香は本を両手で受け取った。

本の話も当然嘘だったけれど、今ではこの恋愛小説をちゃんと読んでみたいという気持ちになっている。

「もちろんよ」
「それともう一冊、短編集についてなにか聞いてないですか?」
そう質問したときだった、奥から男性が姿を見せた。

おそらくこっちは細川正美の父親なのだろう。
白髪交じりの頭と突き出たお腹を見ると、女性よりも少し年上に見える。

そして女性と同じように影のある表情をしていた。
「あなた。この子たち正美の友達なんですって」

「こんにちは。急に押しかけてしまってすみません」
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