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第１話（細川正美物語）

第１話（細川正美物語）

細川正美は線の細い面長の顔をした美人だった。

彼女は今中学１年生でようやく新しい学校、クラスに馴染み始めたところだった。

「ねぇねぇ正美ちゃん。この街に伝わる都市伝説を知ってる？」
登校してすぐに話しかけてきたのは隣の席のリナちゃんだった。

リナちゃんは細くてつり上がった目を持つ正美とは対象的に、丸くて可愛らしい目を持っている。

そんなリナちゃんを正美はずっと羨ましく感じていた。
「都市伝説？　そんなのあったっけ？」
正美はこの街で生まれてこの街で育っているが、そんな話は聞いたことがなかった。

小学校の頃は学校の七不思議で、トイレの花子さんとか、こっくりさんとかが流行っていたけれど中学生になってからはそんな話題もほとんどしなくなった。

どれもが子供っぽくて、もう信じてもいない。

「今から１０年くらい前に、私達と同じ中学１年生の女の子が一人で家に帰ってたの。その途中で、人さらいに遭っていまだに戻ってこないんだって」

「へぇ？　そんな事件あったっけ？」
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