この小説の続きを探しています。
女性がエレベーターで上がっていくのを見届けたあと、慶太が再びパネルの前に立った。
「ちょっと、なにする気!?」

暗証番号は3度間違えればセキュリティが作動してしまうかもしれない。
警備員が来る可能性もある。

「大丈夫。さっきの人の暗証番号を見てた」
「だからって……!」

香が慌てて止めに入ったとき、後方から肩を叩かれた。
驚いてその場で飛び上がって振り返る。

「こんにちは」
ニッコリと微笑むみかけてくる男性は紺色のスーツ姿で、今仕事から戻ってきたような恰好だった。

「こ、こんにちは」
香は引きつった笑顔で返事をしながら横へよけた。

慶太の腕を引っ張り、パネルの前から移動させる。
「君達はここに住んでるの?」
「い、いえ、そうじゃなくて」
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