この小説の続きを探しています。
「一番最近の作品で去年の2月か。ってことは、もうそろそろ新刊が出るのかな?」
香が一番最後の本を見つめてそう呟いたときだった。

「残念ながら、次の本の予定はありません」
と、声が聞こえてきた。
驚いて視線をやるとさっきの男性が立っている。

男性の表情はさきほどとは打って変わって暗く、細川正美や堀田千穂の両親のように翳が見えた。
「先生はお仕事があまりうまく行ってないんですか?」

きっと、そういうことではないと直感的に理解していながら、香はそう質問をした。

案の定、男性は左右に首を振った。
「花月は、半年前から行方不明なんです」

沈んだ声。
落ち込んだ表情によってそれが嘘ではないことがわかった。

「それってどういうことですか? あの、失礼ですが、あなたは西羽咲先生とどういうご関係なんですか?」
< 80 / 133 >

この作品をシェア

pagetop