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香が身を乗り出して質問すると、男性は怪訝そうな顔つきになった。

ここまで話を続けてきたものの、どうして自分の妻がいなくなったことにそこまで執着してくるのか、わからないからだろう。

「部屋に変化はなかったよ。窓も鍵は閉まっていたし、ついさっきまで花月がいた気配もあった」

「それってまるでメアリー・セレスト号みたい」
香が呟く。

「よく知ってるね。世界的に有名な怪異、直前まで人がいた形跡があるのに誰も乗っていなかった船のことだね。そのとおり、まさしくそんな感じだった」

「それって、今私達の回りで起きていることともよく似てるんです」
香はそう言うと慶太から『永遠の本』を受け取り、男性に手渡した。

「この本は?」
男性が小首をかしげて質問してくる。

「この本に書かれた子たちが次々と行方不明になってるんです。次のターゲットは、たぶん慶太」
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