この小説の続きを探しています。
☆☆☆

少し時間がかかるかと思ったが、男性は活字を読むのが早かった。

ものの数分で書かれているページすべてを読み終えて、息を吐き出す。
「この短編集に出てきた子たちがみんな行方不明になっているのかい?」

「そうです。最後の名前が俺の名前です」
「最後の物語だけ中途半端に終ってたな。だから君はまだここにいるってことか」

男性は顎に手を当てて考え込むようにうつむく。
なにか思うところがあるのか、しばらくそのままなにもしゃべらなかった。

香も慶太もジッと沈黙の時間を待つ。

「花月は本当に小説が好きでね。読者としても、作者としても人生をかけてたと言っていいと思うんだ」

顔をうつむけたまま男性が独り言のように言った。
「わかります。作家なんて、中途半端な気持ちでできる職業じゃないと思います」

香がすぐに同意すると、男性が少し顔を上げて微笑んだ。
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