愛を知って涙に幸あれ。

自宅マンションの駐車場に着くと、幹ちゃんは必ず車をすぐには降りず、シートベルトを外すとわたしの手を取り、手を繋ぎながら「今日もお疲れ様。」と言ってくれる。

「幹ちゃんこそ、お疲れ様。」
「優莉、、、何かあった?」
「えっ?」
「最近、、、何かちょっと元気ないなって気がして。」

幹ちゃんにそう言われ、わたしはあまり気にしないようにしていたつもりだったが、幹ちゃんは何でも分かっちゃうんだなぁ、と思い「幹ちゃん凄いね。」と、あまり雰囲気が重くならないように心掛けて言った。

「実はさぁ、、、お兄ちゃんのことが、気になってて。」

わたしがそう言うと、幹ちゃんは「やっぱり、優莉も?」と言った。

「え?幹ちゃんも、、、気になってたの?」
「うん、、、最近、優弦のリアクションが無くなったから。今までだったら、優莉を抱き締めた時とか、好意があるような発言をした時に何かしら飛ばしてきたくせに、、、あいつ、俺に何もしてこなくなったからさ。」

やっぱり、、、幹ちゃんもわたしと同じことを思っていたんだ。

「お兄ちゃん、、、もう居ないのかな。」
「んー、、、分かんねーけど、でも、、、あいつは何も言わずに逝くような奴じゃないと思う。だから、まだ居るとは思うけど、、、」

幹ちゃんはそう言って、言葉を詰まらせたあと「覚悟が、出来てきたのかもな、、、」と呟くように言った。

幹ちゃんの言う"覚悟"、、、

その意味をわたしは理解して、そして同時にわたしも同じことを思っていた。

< 54 / 77 >

この作品をシェア

pagetop