愛を知って涙に幸あれ。

写真の右側に写り込んだピースしている左手。
その人差し指の第2関節あたりには小さなホクロがあり、お兄ちゃんも同じ箇所にホクロがあり、それは見慣れたお兄ちゃんの手だと一瞬で分かった。

「優弦のやつ、せっかくの記念写真に写り込みやがって。」

そう言う幹ちゃんは、どこか嬉しそうだった。

「あ!わたし、お兄ちゃん用にもオムライス作ったんだよ!」

実はお祝いだからと、わたしはお兄ちゃん用にお供えする為に小さなオムライスを作っていたのだ。

「お兄ちゃんのにもハート描いてあげるね〜!」

そう言って、お兄ちゃん用の小さなオムライスにもケチャップでハートを描き、わたしはお兄ちゃんの写真の前にお供えして手を合わせた。

「お兄ちゃんも一緒にお祝いしようね。」

そして、わたしは幹ちゃんと共に食卓につくと、スパークリングワインを開け、ちょっとお洒落にワイングラスにスパークリングワインを注いだ。

「それじゃあ、幹ちゃんの主任昇進を祝って!乾杯!」
「乾杯、ありがとう!」

わたしたちは乾杯をすると、スパークリングワインに口をつけ、それからわたしが作ったオムライスを食べ始めた。

「どう?」
「うん!美味い!」
「良かったぁ!」

そう言って、ささやかだけど幹ちゃんの昇進祝いをしたわたしたちは、久しぶりにお兄ちゃんの存在を感じられて心が弾んでいたのだった。

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