愛を知って涙に幸あれ。

その日から、わたしは幹ちゃんと一緒にお兄ちゃんの部屋で眠るようになった。

シングルベッドに二人で眠るのは狭いけど、でも今はそれが良かったりする。

そんな中、雪は溶け、季節は春に移り変わり、そろそろ桜が咲き始める時期になろうとしていた。

雪国の春は遅く、桜が咲き始めるのは4月下旬から5月に入ってからだ。

「優莉、桜見に行こうか。」

ある日の休日、幹ちゃんの一言で桜を見に行くにした。

某神宮の参道や周りに桜が咲き乱れ、わたしたちは手を繋ぎ、参道をゆっくり歩きながら桜並木を眺めた。

お兄ちゃんの最後の言葉を聞いたあの日から、何だかぼんやりしてしまう事が増え、空を見上げた。

お兄ちゃん、見てくれてるかなぁ。

すると幹ちゃんが「優莉、おみくじ引いてみるか?」と言い、わたしは「うん、そうだね。」と答えた。

そして参拝したあとに、わたしたちはおみくじを引いてみることにした。

わたしが先に引き、その次に幹ちゃんが引く。

それから「いっせーので!」でおみくじを開いた。

すると、何と二人とも全く同じ事が書いてある大吉のおみくじを引いていて、しかも"待人 すぐそばにいる"と書いてあり、わたしはそれを見て泣いてしまった。

そっか、お兄ちゃんはわたしたちのすぐそばにいるんだ。
心の中で生き続けてるんだ。

居なくなったわけじゃない。
見えないだけで、わたしの心の中にも、幹ちゃんの心の中にもいる。

幹ちゃんはわたしの肩を抱き寄せると、頭を撫で「このおみくじ、持って帰ろう。」と言った。

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