愛を知って涙に幸あれ。

そして、その日の夜。
わたしたちはお風呂あがり、いつものようにソファーに座り、寄り添いながらテレビを見ていた。

「ねぇ、幹ちゃん。」
「ん?」
「今日は、外に連れ出してくれて、ありがとね。」

わたしがそう言うと、幹ちゃんはわたしの肩を抱き「桜が咲いたら見に行こうって、約束してたしな。」と言った。

「わたしね、お兄ちゃんが居なくなってから、、、お兄ちゃんが心配しないように頑張らなきゃって思ったり、そのくせ落ち込んでみたり、、、その繰り返しで、なかなか気持ちを切り替え出来てなかったんだぁ。」
「そんなの当たり前だろ。世界で一番大切な兄ちゃんを亡くしたんだ、、、そう簡単に気持ちの切り替えなんて出来るはずない。焦らなくていいんだよ?」

幹ちゃんはそう言って、わたしの肩を抱いていた手で頭を撫でてくれた。

「わたし、幹ちゃんが居てくれるから、何とか生活出来てる。もし一人だったら、、、気力も何も無くして、どうなってたか分からない。だから、幹ちゃんには凄く助けられてて感謝してるの。」

わたしがそう言うと、幹ちゃんは微笑んで「何言ってんだよ。助けられてるのは、俺の方だよ。」と言った。

「優莉、俺たちが一緒に暮らし始めたばかりの時に、同じ家に暮らしてるんだから、家族だよって言ってくれたの覚えてるか?」
「うん、もちろん覚えてるよ。」
「あの時、、、凄く嬉しかったんだ。家族の温かさを知らなかった俺に、誰かが一緒にいるってゆう安心感と愛を教えてくれたのは、優莉だから。」
「え、、、わたし?」
「うん。優弦には人を信頼出来る心を教えてもらって、、、唯一の親友が優弦でさ。最初は、そんな優弦に救急車の中で"優莉を頼む"ってお願いされて、親友の大切な妹の優莉を守らなきゃって思ってたけど、、、今は、優弦のお願いも含めて、優莉を一人の女性として守りたいって気持ちに変わってる。」

幹ちゃんはそう言って、わたしの頭にコツンと自分の頭を寄せてきた。

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