悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!
確かに令嬢たちも、ロザリー側が冤罪で追い詰められる展開が見たいと言っていたはずだ。
その為にマリアンヌがするべきことは――

「じゃあ私、早速明日からでも『悪役令嬢』になることにするわ」
「お待ちください、お嬢様。嫌な予感しかしないのですが、一体何をなさるおつもりですか?」
「何って、とりあえずロザリーを虐めようかと思って。大丈夫、バレないようにやるから。だって、早く虐めないとお父様が婚約解消を申し出てしまうじゃない。私、ジャルダン様の婚約者でいる間に『悪役令嬢』になって、『断罪返し』までしなければならないの。時間が無いんだから止めても無駄よ」
「……お嬢様、第一王子とロザリー様の所業は私も聞き及んでいるので、止めはいたしません。ただ、どうせやるなら悪役令嬢の嫌がらせとしてよく出てくる手法があるので、則ったほうがよろしいかと」
「まあ、そんなものがあるのね!」

その後どこかへと消えたアレンは、しばらくして大量の本を抱えて戻ってきた。
すべて悪役令嬢が登場する小説で、これを読んで虐めの作戦を立てろということらしい。

ふーん、どの本を読んでも虐め方って似通っているものなのね。
私もここはオーソドックスに使い古された手で行きますか。

「よし、じゃあまずは定番の悪口でしょ。次にロザリーの私物を壊して、最後は階段から突き落とすって感じかしら」
「ありきたりで非常によろしいかと」

褒められてしまった。




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