姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
気づいてしまったのだ。十二年前、少年だった彼にあんなに偉そうなことが言えたのは、まさか一国レベルの話だとは思っていなかった油断と、あくまで外野から物を言う気安さから。彼が冗談めかして告げた『タイラント皇家の淀みは野獣皇帝が力技で払った』の台詞も、今はもう笑って聞き流すことが難しい。彼が皇帝としてここに至るまでに辿った苦難を思えば、その隣に妃として立つ重みに震えそうになる。
たしかに阿呆ではない。けれど、私は日本で得た卓上の知識以上を持たず、王女として当たり前に備えているべき社交やマナーといった立ち居振舞いがなにひとつ出来ない。
ひと皮むけば、私は妃として絶望的に不出来だ。
これを正しく認識しても、ジンガルドは変わらない熱量で私を受け入れてくれるのか。ジンガルドの好意をそのまま受け取って、その後で本当の私を知った彼に失望されてしまうのが怖い。
たしかに阿呆ではない。けれど、私は日本で得た卓上の知識以上を持たず、王女として当たり前に備えているべき社交やマナーといった立ち居振舞いがなにひとつ出来ない。
ひと皮むけば、私は妃として絶望的に不出来だ。
これを正しく認識しても、ジンガルドは変わらない熱量で私を受け入れてくれるのか。ジンガルドの好意をそのまま受け取って、その後で本当の私を知った彼に失望されてしまうのが怖い。