姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「それにしても、これ以上ない結果になりましたよね。まさかフィアンナ様が十二年前にジンガルド様と出会った少女だったとは、本当に驚きました」
「そうだな」
「昨日、離宮の庭でジンガルド様が膝を突いて『チャンスをくれないか』と乞うたシーンは、見ていたこっちまで思わずドキリとしちゃいましたよ~。エリックなど頬を染めて『これは惚れる』なんて呟いてましたし。いや~、よかったですよ」
 普通の臣下なら、主のそういった場面は見なかったふりで流すのがマナーだろうに。あえて言ってくるあたりが、オズモルトらしくもあり。
 苦笑しつつ、今回ばかりは労いを口にした。
「お前にはずいぶんと気を揉ませたな。お前が引っ張り出してくれたおかげでこういう結果になったからな。一応、礼を言っておく」
「いえいえ~、おふたりが円満ならそれが一番です。あ、ですが避妊だけはちゃんとなさってくださいね」
「なっ!?」
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