姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「ううん! なんでもないわ」
 慌てて首を横に振る。私があたふたしている間に、おじさんとジンガルドの会話は終わっていた。
 そうこうしているうちに購入の順番がやって来る。
 三度目の正直。私は念願のサンドイッチを両手で受け取ると、さっそく大きな口でかぶり付く。
 甘辛いタレが絡んだジューシーなお肉、シャキシャキの野菜と薄いパン、それらが口の中で絶妙に合わさった。
「ん~、ほっぺたが落っこちそう……っ!」
 もぐもぐと噛みしめながら、想像以上の美味しさに唸る。
 何口か食べ進めたところで、ジンガルドもさぞ満足しているだろうと隣を見上げた。すると彼は手つけずのままのサンドイッチを持ち、蕩けそうな目で私を眺めていた。
 えー! なんで食べないで私を見てるの!?
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