姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 オズオルトはヤレヤレといった様子でヒョイと肩をそびやかしただけで、それ以上追及はしてこなかった。もっとも、俺の行き先などとうにお見通しなのだろうが。

 政務室を飛び出した俺は、真っ直ぐに離宮を目指した。
 フィアンナは今日、初めて教師と面会する予定になっていた。予定は午前中に組まれていたはずだから、夕刻のこの時間ならさすがに終わっているだろう。
 離宮に辿り着いた俺は、彼女の部屋には向かわずに門から直接庭に回った。
 フィアンナは夕食前のひと時を庭で過ごすことが多いようだ。俺はこれまでにも何度か、庭で花に囲まれて微笑む彼女の姿を見たことがあった。
 ただし、俺が彼女に声をかけたことはなかった。正確には、声をかけることが憚られ、毎回静かにその場を立ち去っていた。
 ……いた。フィアンナだ。
 視線の先では、今日もフィアンナが笑って花たちに話しかけている。
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