姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 さらに仔細を聞けば、五年ほど前に数日違いで眠るように旅立っていったそうだ。一抹の寂しさはあるけれど、大往生で逝ったふたりが、今は仲良く神の庭でガーデニングを楽しんでいると考えればほっこりと胸が満たされた。
 ロアン、テレサ、どうかこれからも神の庭でふたり幸多い日々を過ごしてね。心の中で祈った。
「今回の教師のお話は、ジンガルド皇帝陛下自ら当家を訪れ、私と夫に願い出てくださいましたの。丁寧に事情を説明したうえで、『ドロシー夫人にぜひ、我が妃の力になってほしいのだ』とそうおっしゃっていましたわ」
「え? ジンガルドがじきじきに頼みに……」
 皇帝の立場から命じればそれで事を済ませることもできただろう。けれど、そうしなかった。
 彼はドロシー先生に、命令で仕方なく教師をするのではなく、誠実に私に向き合ってほしいと思った。そのためにまず彼自身が誠意を尽くしたと、きっとそいうことなのだろう。
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