姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 ルクレツィア王女はレッドブラウンの巻き髪にボルドーの瞳、胸もとが大きく空いた派手なドレスを纏うグラマーな女性だった。
「ルクレツィア王女、こうしてお会いするのは初めてですね。料理は口に合っておりますかしら?」
 私は微笑みながら語りかける。話題は無難に会場内の料理を選んで振った。
「それがあまり……そうだわ! フィアンナ王女お勧めの料理をぜひ教えてくださいませ!」
 えっ!?
 普通に「美味しくいただいております」という台詞が返ってくるものだと思っていたら、予想の斜め上をいく台詞と共にグイッと腕を引かれてギョッとする。
 ドロシー先生から学んでいなくとも、これがマナー違反だというのは瞭然だ。
 突然の暴挙にジンガルドも眉をひそめたが相手は他国の王女。止めるかどうか逡巡しているのが窺える。
 私は目線だけで「大丈夫だから、ここは任せて」と合図して、ルクレツィア王女に腕を引かれるに身を任せる。
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