姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 みなまで言わずともオズオルトはすべて察したようで、フッと口端を緩める。
「ジンガルド様の御心のままに。留守中の帝宮は、すべてこのオズオルトにお任せください。一カ月後の挙式がつつがなく開催できるよう準備も万端にし、帰還をお待ちしております」
 仰々しく胸に手をあて腰を折るオズモルトに、俺もまたあえて尊大に告げる。
「この戦から無事帰還した暁には、褒章としてこの幸福を呼ぶ赤い薔薇を授けよう。オズモルト、留守を頼んだ」
 俺たちのやり取りを政務机の上から静かに見守っていた幸福を呼ぶ赤い薔薇が、リンッと澄んだ音を立てたような気がした。

***

 ジンガルドは、雛を守る親鳥よりもっと私に過保護だ。
 私が少しでも傷つく可能性がありそうなものや状況はことごとく排除して、危険のないなだらかな道を歩けるよう手回しを惜しまない。そしてそこにかかる労を、私にはけっして見せようとはしないのだ。
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