姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「頼もしいわね。じゃあ、私は午後の先生が来るまで少し休ませてもらうわ」
「ハッ!」
 彼にくるりと背中を向けて部屋に戻り、パタンと扉が閉まった瞬間。
 大股でクローゼットに向かい、フード付きのケープを手に取って庭に向かう。目指すのは、生垣に出来た例の抜け穴だ。実は、馴染みの猫が時折通っていることもあり、ジンガルドに帝都に行きたい時は必ず誘うことを約束して、残してもらっていたのだ。
 エリックさんの答えに、私は到底納得していなかった。
 ……たぶん、最初に口にした『山賊被害』というのが、咄嗟のでまかせだったのだろう。その先はもう、突っ込みどころが満載だった。
 この五カ月。私はドロシー先生以外にも、幾人か専門の教師をつけて皇家のしきたりや風習、帝王学まで学んでいた。他にも、各国から個別に訪れる賓客の相手をしたり、多忙な日々を過ごしていた。
< 181 / 223 >

この作品をシェア

pagetop