姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 帰還の準備を進めながら思わずこばせば、フィアンナが目をパチパチと瞬く。
「え!? いやいや、そんな大層なものじゃないわ。ただ、父や姉たちの悪あがきが面白くて笑っていただけだもの」
 フィアンナはそんなふうに謙遜したが、俺に言わせれば十八年分の辛酸をそれで済ませてしまえるのだから、十分に理性的だ。
「それにね、私から言うことはなかったわ」
「ん?」
「だってジンガルドが全部言ってくれたから。特に最後の『フィアンナの尊厳を十八年間も踏みにじり続けたお前たちに明るい未来があると思うな』って台詞には、正直痺れたわ」
「そ、そうか」
 どうにも我慢ならずぶつけてしまった沙汰とは無関係な捨て台詞だったが、フィアンナの心に響いたのならよしとする。実際問題、光の乙女を虐げてきた彼らがこれから歩む道のりは茨となるだろう。
 それにしてもだ。
「戦場まで追いかけてくるなど、とんでもないことだ。今回の君の行動で俺は確実に寿命が縮んだぞ」
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