姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 もちろん黙って事を運ぼうとしていた俺にも非があるし、彼女のおかげで成し得た不戦勝である。あまり強くは言えないのだが、それでもすべて方が付いた今、改めて注意をせずにはいられなかった。
「心配をかけたことは謝るわ。でも私、後悔はしていない」
 フィアンナは俺の目を見て言い切り、さらに衝撃の告白をする。
「それに、あなたの憂慮したような事態はなにひとつ起こっていないわ。私は血なまぐさい戦の匂いを嗅いでいない。父たちだってあなたの温情で、私が着いた段階でもう暖かな部屋で勾留されていて。むしろ、捕縛と呼ぶにはほど遠い厚遇を目の当たりにして驚いたくらいよ」
「なっ!? 俺とオズモルトの話を聞いていたのか!?」
「ええ。あなたがどんな思いで私に真実を隠したのか全部分かっているつもりよ。だから私も、それを蒸し返して怒ることはしない」
「……どうやら、君の行動力を見くびっていたようだ」
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