姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「私は剣を持たないから、代わりに私の心をあなたに捧げるわ。私の夫に最大限の敬意と生涯違わぬ誠心を誓います」
 それは、俺が以前フィアンナにした誓いを模したもの。喜びに胸が詰まり、息の仕方すら忘れてしまう。
「それから、すっかり伝えるのが遅くなってしまったけど……ジンガルド、あなたを愛してるわ」
 っ! 続けてフィアンナから捧げられたのは、ずっと待ち望んでいた彼女の愛──!
 歓喜が迸り、愛しい想いがあふれる。
「フィアンナっ!」
 衝動に突き動かされ、緩く繋がれたままのフィアンナの手を握り、グッと引き上げる。立ち上がった彼女は勢いを殺せぬまま、俺の懐に頭を沈めた。
 細い腰を抱き寄せ、大切な宝物を包むように腕の中に閉じ込める。フィアンナは少し緊張に体を硬くしていたが、少しするとおずおずと俺の背中に腕を回した。
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