姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
その直後、フィアンナは顔を隠すように俯いて、そのままポフンと俺の胸に縋りついた。恥ずかし紛れの行動だろうが、俺には役得でしかない。彼女を抱きしめる大義名分を得て、俺は腕の中にあるまろやかな感触と温かさに酔いしれた。
どれくらいそうしていただろう。
フィアンナが胸からそっと顔を上げ、俺の腕をトントンと叩きながら照れたように微笑む。後ろ髪引かれつつ腕を解く。
俺の腕から抜け出ても、フィアンナの頬は林檎のように赤いままだった。だが、精いっぱい平静を装う俺とて他人ごとではないだろう。
顔の火照りを逃がすように、宙を仰いでホゥッとひと息ついた。
「……それとね、ジンガルド。私、あなたにひとつ謝っておかなくちゃならないの」
「君が俺に謝る?」
フィアンナが遠慮がちに切りだすが、戦場まで追いかけてきた無謀な行動を除けば、謝罪されるようなことは皆目見当がつかなかった。
どれくらいそうしていただろう。
フィアンナが胸からそっと顔を上げ、俺の腕をトントンと叩きながら照れたように微笑む。後ろ髪引かれつつ腕を解く。
俺の腕から抜け出ても、フィアンナの頬は林檎のように赤いままだった。だが、精いっぱい平静を装う俺とて他人ごとではないだろう。
顔の火照りを逃がすように、宙を仰いでホゥッとひと息ついた。
「……それとね、ジンガルド。私、あなたにひとつ謝っておかなくちゃならないの」
「君が俺に謝る?」
フィアンナが遠慮がちに切りだすが、戦場まで追いかけてきた無謀な行動を除けば、謝罪されるようなことは皆目見当がつかなかった。