姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 何の変哲もない赤い薔薇は光の加護を受け、紅色に薄く金粉を溶かしたような神々しい色合いで艶やかに咲き誇る。
 幸運を呼ぶ赤い薔薇の出来上がりだ。ちょっぴり恥ずかしいネーミングだが、私が帝都まで乗せてもらっている食品配送の御者さんが『これをもらった日に長年の片想いが報われて、おふくろの腰痛は治り、新規顧客も五件獲得できて、これはまさしく幸運を呼ぶ赤い薔薇だ!』と熱弁した。世話になっている恩人の手前、やむなくそれを受け入れた経緯があった。
「ありがとう、とっても綺麗よ!」
 私の賛辞に、薔薇はリンッと清々しい音で応えた。
 これから向かう帝都の街で私はこの薔薇を売り、僅かばかりの小遣いを得ていた。ただし、欲を出し過ぎるのはご法度だ。
 露店でほんの少し飲み食いできれば、それで十分なのだ。
「前回持っていった二輪はあっという間に売れちゃったから、そうね……」
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