姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 俺がムッとして問い質せば、少女はガバッと起き上がり、目をパチパチと瞬かせた。
 ……わぁ。母様の持っている紫水晶より、もっと澄んだ紫色だ。
 痩せた体に、土で汚れた金髪は毛先が不揃いでバサバサ。だけどその瞳はとびきり綺麗で、思わず目を奪われる。
「あ、別にあなたに対してどうこうじゃないの。またいじめっ子が来たのかと身構えたところで見たのがあなただったから、ついホッとしちゃったのよ。気を悪くさせちゃったなら、ごめんなさい」
 妙に大人びた口調で謝られ、たじろぐ。
「べ、別にいいよ。ところでお前、そんなところでなにしてんだよ。そこ、使用人小屋か?」
「ここは庭師小屋。これから庭の手入れをしようと思ったんだけど、お天気がいいからちょっとだけ日向ぼっこしていたの」
 どうやら少女は庭師の娘のようだ。おおかた両親に庭仕事の手伝いを言いつけられ、サボッていたんだろう。
「あなたはご両親の用事で王宮に?」
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