姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 一層キラキラと輝く紫水晶の瞳に視線が釘付けになる。俺はコクコクと頷きながら、三個あったチョコレートを全部少女の手に押し付けた。
 少女はチョコレートを知っているらしい。嬉しそうに包装を解いて頬張った。
 俺の母国でチョコレートは高級品。庶民が口にする機会はまずないが、この国ではその限りではないらしい。
「この国は豊かで平和なのだな。我が国とは大違いだ」
「え?」
 留学してきて、この国の人々のプライドの高さは随所で感じた。王宮内を歩けば、タイラント帝国を下に見ているのもすぐに分かった。俺を蛮国の出身と侮る彼らに内心腹を立てていたが、仕方のないことなのかもしれない。
「国王陛下は愛妻家だと評判で、長男の第一王子殿下は既に立太子して正式な後継と定められている。光の石が採れる鉱山を有して財政的にも潤っている。お家騒動とも無縁、国庫も金満。光の乙女の伝承がなくとも、大陸で一目置かれるわけだな」
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