姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 少女はコクンと嚥下し、チョコレートの余韻を味わうようにひと呼吸おいてから口を開いた。
「どうかしらね。隣の芝生が青く見えているだけかもしれないわよ」
「どういうことだ?」
「愛妻家と言うより、実態は恐妻家が近いと思うわ。過去の失態もあって、妻に頭が上がらないのよ。まぁ、後継者に関しては側腹が男児でなかったのも幸いして、割とスムーズだったかもしれないわね」
「え。側腹って、陛下には王妃様以外にも女性が……? それに、子までいるのか?」
 少女は訳知りに微笑んで、さらに続けた。
「それと、その光の石も所詮資源よ、無尽蔵ではないわ。一般的にダイヤモンド鉱山は約五十年で枯渇するとも言われている。さて、この国が鉱脈を見つけてから、何年が経ったかしらね?」
 明確な年月までは覚えていないが、サドニア神聖王国が光の石を流通させるようになってからとうに五十年以上経っていることだけはすぐに思い出せた。
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