姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 直後に、俺は本国への帰国を余儀なくされた。なんと皇位継承争いに距離を置いていたことが幸いし、俺だけが兄弟間の骨肉の争いを生き延びて皇太子の座が転がり込んできたのだ。
 そうして俺はアンナに会えないまま、サドニア神聖王国を後にした。

◇◇◇

 ──意識が今へと戻る。
 皇太子としてタイラント帝国に戻った俺は、徐々に病に侵されつつあった父を巧みに表舞台から遠ざけ、帝位就任までの四年間で腐敗しきった政権を一新した。
 すべての膿を出しきるため、容赦はしなかった。代替わりのゴタゴタにかこつけ攻め込んできた隣国レガロン王国も、自ら先陣切って叩きのめした。そのやり口に諸外国は眉をひそめた。今も野蛮で残酷な野獣皇帝などと扱き下ろされているが、諸外国の評価など知ったことではない。
 俺の二つ名が諸国への牽制になるのなら、むしろ望むところ。俺はタイラント帝国の安寧にのみ、心を砕くのだ。
< 66 / 223 >

この作品をシェア

pagetop