姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 あの出会いから十二年。彼女が最後に言い残した言葉通り、俺は一国の長として海千山千の政治の世界で強かに生き抜いている。
 ……それにしても、どうして彼女は俺の顔を見るや叫び声をあげ、駆けて行ってしまったのだ?
 俺を覚醒させるきっかけとなった少女と、十二年振りに果たした再会。そこで彼女が取った予想外の態度に、俺は困惑していた。
 俺はかなり面変わりしたし、腑抜けていた当時とは百八十度も印象が違う。彼女が俺と昔に会っているのに気づかないこと自体は仕方がない。
 だからといって、逃げるように走り去られてしまうとは考えてもおらず。慌てて後を追ったが、市場の賑わいに紛れた彼女を見つけ出すことはできなかった。
 それでも、なにか彼女に繋がる情報が得られないかと聞き込みを続けた。すると、フードが脱げる前に彼女が薔薇を売っていたという目撃情報があった。
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