姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 そうこうしているうちに、馬車が市場の前に到着する。
 よーし、今日こそはリベンジよ! 絶対お肉のサンドイッチと伸びるアイスを食べるんだから!
 前回『幸運を呼ぶ赤い薔薇』を売った二千エンサがあるから、今日は花は売らない。さっそく、わくわくしながら賑わう市場の中へと踏み出した。
 真っ先に向かったのは、サンドイッチを売る露店。
 結構な人気店でいつも行列の店だ。今日も買うまでにちょっと待ちそうだが、目にも楽しいのでまったく問題はない。
 ここのサンドイッチのイメージは、まんまケバブサンド。吊るした大きな炙り肉が店先でぐるぐる回っている。その表面を店主が目の前でナイフで削ぎ切りにし、パンに野菜と一緒に挟み、ソースをかけて渡してくれるのだ。
「ひとつください!」
「あいよ」
 ついに順番がきて、代金を支払ってホカホカと湯気を立てるサンドイッチを受け取る。
 サンドイッチはズシリとくる重さで、たっぷりのお肉が挟まっていて凄く分厚い。
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