姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「いいや! 今度こそ離さない!」
 ぇええええ!?
 あっぷあっぷになりながらなんとか絞り出した拒絶の言葉が、バッサリ切り捨てられて目を剥いた。
「ずっと君に会いたかった!」
 ジンガルドは唖然とする私の手をグッと引き寄せて言い募る。
 私を見つめる瞳の温度が高い。手首を掴む大きな手は力強く、引き剥がそうとしてもまったく振りほどけない。
「話したいことがたくさんあるんだ!」
 ひぃいいいっ!? ち、近いっ!
 覆い被さるようにして私の進路を塞ぐ体躯は逞しく、グッと距離を詰められると微かにムスクとアンバーが香る。
 無駄に精神年齢ばかり重ねているが、前世も含めて男性との交際経験ゼロ。白状すると、手を握ったことだってない。
 そんな私に、ジンガルドは雄の色香ムンムンで迫って来る。完全に太刀打ちできる気がしない。
 こんなに熱烈に口説かれたら、誰だって流されて──。
「っ、いい加減にしてくださいっ!」
 ──しまうわけがないっ!
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