姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 勢い込んで、やたら具体的な注文をする私にエリックさんは破顔した。
「はははっ! 承知しました。お持ちください」
「あ! 分かってると思いますが、どっちも二人分でお願いしますね」
 こういうのは、ひとりで食べるより誰かと一緒に食べた方がおいしい。
 私の意図に気づいたエリックさんが困り顔で口を開く。
「あの、私は一応勤務中なのですが」
「あら。だったら、一緒にお茶をしながらの方が監視対象を間近でじっくり観察出来て好都合じゃないですか。サボってることにはならないですよ」
「私の業務は監視ではなく護衛で……はぁ、まいったな。フィアンナ様にはかないません。オーダーしてまいります」
「お願いします。部屋で待ってますね」
 この三カ月でジンガルド以外の人たちとはすっかり打ち解けていた。それこそ、こんなふうにエリックさんを丸め込み、お茶に同席させてしまえるくらいには馴染んでいる。
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