すべてはあの花のために④

 その後、家の遠い順にシントは送り届けた。


「(つんつん)」

「ん? なーに?」


 一番遠いオウリを送っている最中、彼がスマホの画面を見せてくれる。


〈あーちゃん
 ちーちゃんのこと
 待っててあげてね〉


「オウリくん……」


 大丈夫だよと、小さく笑って頷いた。


〈それと
 ちーちゃんのこと
 落ち着いたらでいいから
 一緒に病院行って欲しいな〉


「……もちろん。オウリくんに合わせるよ」


 ちょうど彼の家に着いたようで、オウリはにっこり笑って下りていった。



「あおいチャン。心配だと思うんだけど……」

「うん。大丈夫。アカネくんも、そんな顔してたら、彼が気を遣っちゃうでしょう?」

「……そう、だね」

「うんっ。それじゃ、また明日ね」


 アカネを見送って車へと戻ると、やっぱり葬式状態は変わらなくて。



「……チカちゃん、大丈夫かな」

「圭撫。大丈夫だ」

「そうよ。……今のチカは、大丈夫だから」


 なんだか、自分たちにも言い聞かせているようだ。


「それじゃあまた明日」

「うん。カナデくん」

「アオイちゃん」

「え? ……何?」


 助手席へと回ってきたカナデは、葵の耳に口を寄せる。


「……もし何かあったら頼むね」

「――!」


 それだけ言って離れていった彼は、申し訳なさそうに笑って葵の頭をぐしゃぐしゃに撫で回していった。


「今日は俺の夢見てね~ん」


 そんな捨て台詞を吐いて。


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