婚約破棄されたので、契約母になります~子育て中の私は、策士な王子様に翻弄されっぱなしです~
「フローラ、いかないで……」
眠さと彼女がどこかへいってしまうのではないかという恐怖の狭間で闘っている。
彼女はルイトの小さな手を握ると、そっと囁く。
「私はどこにもいきませんよ。ずっとあなたの傍にいます。ずっと……」
その言葉を聞いて安心したのか、ルイトは再び眠りについた。
(ルイト様……)
そっとルイトに布団をかけ直すと、窓の方へと向かう。
(今日は月がとても綺麗ね……)
まん丸お月さまは、フローラとルイトの新しい生活を見守るように煌々としている。
(ルイト様、私があなたの母となります。あなたを傷つけるものから、あなたを守りましょう。願わくば……いえ、私が隣にいられるのは、一年だけです。そういう契約ですから……)
フローラは机に置いてあった『貴族の縁組み許可書』をじっと見つめる。
そこには、フローラをルイトの母として認める内容が書かれてた。
しかし、そこの最後にはこう書かれていた。
『但し、フローラ・ハインツェが母となるのは本日より一年とする』
(一年の間に国がルイト様の親として相応しい人物を探し出す。私は、それまでの代理母。いわば契約で決まった一年限定の母親……)
フローラはすやすやと眠るルイトを眺めて、呟く。
「一年間、あなたを立派に育てると誓います」
フローラは満月に誓った──。
眠さと彼女がどこかへいってしまうのではないかという恐怖の狭間で闘っている。
彼女はルイトの小さな手を握ると、そっと囁く。
「私はどこにもいきませんよ。ずっとあなたの傍にいます。ずっと……」
その言葉を聞いて安心したのか、ルイトは再び眠りについた。
(ルイト様……)
そっとルイトに布団をかけ直すと、窓の方へと向かう。
(今日は月がとても綺麗ね……)
まん丸お月さまは、フローラとルイトの新しい生活を見守るように煌々としている。
(ルイト様、私があなたの母となります。あなたを傷つけるものから、あなたを守りましょう。願わくば……いえ、私が隣にいられるのは、一年だけです。そういう契約ですから……)
フローラは机に置いてあった『貴族の縁組み許可書』をじっと見つめる。
そこには、フローラをルイトの母として認める内容が書かれてた。
しかし、そこの最後にはこう書かれていた。
『但し、フローラ・ハインツェが母となるのは本日より一年とする』
(一年の間に国がルイト様の親として相応しい人物を探し出す。私は、それまでの代理母。いわば契約で決まった一年限定の母親……)
フローラはすやすやと眠るルイトを眺めて、呟く。
「一年間、あなたを立派に育てると誓います」
フローラは満月に誓った──。