うしろの正面だーあれ
『…おじさんは、家族にちゃんと説明したの?』
『…いや、何も言わなかった。』
『どうして?』
『…何でだろうなぁ。さっきお嬢ちゃんに言ったことと矛盾してるな。…いや、言わなかったからこそ学んだことかな…。』
『…おじさんは家族のことが大好きだったんだね。』
咲子は笑顔で言った。
『え…?』
『私、おじさんの気持ち分かるよ。家族を愛してたから、心配かけたくなくて何も言わなかったんでしょう?』
『お嬢ちゃん…。』
『それでね、黙って居なくなる方が家族の為だと思ったんでしょっ?』
『…お嬢ちゃんは頭が良いなぁ…。おじさんより、ずっと良いよ…。』
そう言って、ホームレスは笑いながら涙を流し、咲子の頭を大きな優しい手で撫でた。
『咲子!!!』
『…あ、お母さんだ…。』
『ちょっと!うちの子に何の用ですか!?触らないで!』
『お母さん!やめてよ、おじさんは悪くないよ!』
咲子が反論すると、『咲子は黙ってなさい!』と怒鳴られた。