うしろの正面だーあれ



コンコン・・



病室の扉をノックしても返事はない。



少し待ってみても返事はないので、楓は様子を伺うようにして病室に入った。



『佐和ちゃん…。』



楓が呼び掛けると、窓の方を向いていた佐和が ゆっくりと振り返った。



『楓…。』



『…あっ ミカン持ってきたよ!食べる?』



『うん…ありがとう。』



なんだか元気がないようだ。



重度の火傷をしているのだから当たり前なのだろうか。



しかし、今日の佐和は見るからに生気がない。



楓は思い切って訊いてみた。



『…どうしたの?元気ないね。』



『…来たのよ。』



『え?』



『彼が来たの…。
私の愛しい人…』



そう言った佐和の目は、楓を見ていなく、どこか異次元でも見ているようだった。



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