うしろの正面だーあれ
と言っても、隆史に対する想いは恋ではないのだ。
いわゆる“憧れ”というものだろうか。
助けてくれたことが、心底 嬉しかったのだ。
しかし、この教室で ある勘違いが生まれていたことに、隆史と佐和は まだ気付いていない。
それは
“隆史は佐和のことが好き”
ということ。
そして、その勘違いを凄まじい剣幕で睨む ひとりの少女。
彼女の名前はサカエ。
彼女が腹を立てているのには理由が2つあった。
1つは、杏奈と早織に怒られてしまったこと。
…まぁ自業自得なのだが。
そして、もう1つは サカエが隆史を好きだったこと。
しかし、目の前に居る隆史は 佐和が好きだという。
否定もしない。
こんなに腹立たしいことが今までにあったか
こんなに もどかしい想いが今までにあったか。
サカエの震える拳は、解くことを知らない――…