うしろの正面だーあれ
静まり返った教室の真ん中で、サカエは両手を机に置いたまま立っている。
その手はジンジンと痛く、熱を帯ているようだ。
真っ赤になっているであろう その手を、机の上で震えながら握り締めた。
耐えきれなかったのだ。
自分に対する悪口は我慢できた。
が、隆史と佐和のことを言われるのは我慢ならない。
サカエは、物凄い形相で教室中を睨みつけた。
その光景を、みんなが冷めた目で見ていた。
“何だ その目。
うぜぇんだけど。”
“私達、何かした〜?てか、悪いのは あんたじゃん!”
“調子乗ってんじゃねぇよ!”
この場に隆史が居たなら、おそらく彼は止めただろう。
しかし、誤解が生まれた直後に隆史は教室を出ていってしまったのだ。
正義感の強い咲子や朝子も この場には居ない。
サカエは、完全に独りなのだ。